京橋・魯卿あん【作品傳百世 石黒宗麿展】Exhibition of ISHIGURO (at Rokeian, Kyobashi)
開催期間:2021年3月15日(月) ~ 2021年3月27日(土)Exhibition : March 15 to March 27, 2021
休業日:3月20日(土)・21日(日)
※本展は京橋店「魯卿あん」で開催致します。
唐・宋代の古陶磁の研究を積み、様々な陶芸の技術を習得した石黒宗麿先生。1943(昭和18)年には黒釉地に木の葉を焼き付けた「木葉天目」の完成に至り、幻の技法を復活させました。柿釉、唐津、宋赤絵、線刻など、じつに多彩な作品を生み出された先生は、1955(昭和30)年に鉄釉陶器の技法で最初の重要無形文化財保持者(人間国宝)に認定されます。
本展では、初期の作品である「倣唐三彩馬」をはじめ、宋赤絵風の「加彩三羊文盌」、類品も少ない「釉描往還盆」や晩年の鉄絵の作品など、希少な作品を一堂に展観致します。是非ご高覧下さいませ。
〇京橋 魯卿あん
〒104-0031 中央区京橋2-9-9 ASビルディング1F
営業時間:11:00~18:00
定休日:日曜日・祝日
TEL: 03-6228-7704
No.2 釉描往還盆 / Platter, Slip trailing
32.4 / H7.7cm
共箱 / with box signed by artist
※価格はお問合せ下さい / Please inquire about the price.
大八車で荷物を運ぶ人々、牛車で運ぶ人が往来している。往還というタイトルから物語を想像してしまう。この黒絵の釉薬は波斯釉などと言われることもある。薄っすらと霧状に施されている緑釉が無事に還られた人にスポットを当てているようだ。32cmを超える大鉢で類品も少ない名作である。
No.5 鉄絵盌 / Chawan, Iron painting
13.1 / 12.8 / H6.4cm
共箱 / with box signed by artist
1967 年 大丸創業 250 周年記念 現代名匠作品展出品作品
※価格はお問合せ下さい / Please inquire about the price.
この茶碗は昭和42年の大丸創業250周年記念展に出展した作品である。宗麿先生の73歳の時の作品で石黒の石(stone)の頭文字の「S」という刻銘となっている。この最晩年は宗麿先生の芸術が最も高みに昇った時期で作品は多くはないが名作が次々と誕生した。太筆で一気呵成に円相を感じさせるような抽象的な絵が描かれている。作為と無作為の狭間の中での仕事と言うのであろうか一見変哲もない作風に隠された宗麿先生の美意識を一ずつ紐解くのが愉しい茶碗である。
No.7 加彩三羊文盌 / Chawan, Overglazed enamels, Three sheeps motif
13.2 / H5.2cm
¥1,200,000-(税込 / including tax)
世界最古の赤絵は中国宋代の磁州窯で作られた宋赤絵と言われている。盟友だった小山冨士夫先生が宝物にしていた山西省潞安窯の大きな宋赤絵の陶片に宗麿先生もいつか魅入ったのかもしれない。1940年頃からの宋赤絵風の仕事を取り組んでいるが最晩年にはこの加彩という名称のもと、この仕事も大成している。この茶碗には三匹の羊が描かれている。中国での三羊は陰が陽に、冬が春になると言われとても縁起が良い吉祥文様である。高台脇に「S」の刻銘がある。
No.10 鵲鴣斑盌 / Chawan, Partridge feather pattern
13.8 / 13.2 / H9.1cm
共箱 / with box signed by artist
¥1,800,000-(税込 / including tax)
鵲鵠とは中国南部に生息する鳥の羽の模様に似ていることから中国宋時代の定窯系で作られた黒釉に茶釉が光線状に拡がるものなどに付けられている名称である。宗麿先生は黒釉と茶釉を応用し独自の鵲鵠斑を作った。この茶碗は一見ただの黒釉に見えるが星空のような濃紺の釉薬である。茶釉は指に付けて檜垣文を描いているようである。高台畳付に「栩」の印銘がある。
No.11 銕絵盌 / Chawan, Iron painting
13.2 / H6.5cm
共箱 / with box signed by artist
¥1,200,000-(税込 / including tax)
宗麿先生は日本陶磁器の中では最も唐津に執着して多くの作品を残した。この茶碗は強い轆轤目が三層に入れられている。正面には宗麿先生が良く描いている模様を三箇所に配している。青味掛かった釉薬はほのかに桃色に発色している部分がある。
No.12 銕絵盌 / Chawan, Iron painting
14.5 / H4.8cm
共箱 / with box signed by artist
¥1,200,000-(税込 / including tax)
見込みには数条の線文が描かれているがそのリズムは茶味を感じさせる。器形は平茶碗であるが深みを感じさせる。高台の作り、茶碗の外側の作りに宗麿先生のこだわりがある。飲み口からはお茶をいただきやすくその部分だけやや薄く整えている。
No.13 鐡絵木葉文茶碗 / Chawan, Iron painting, Leaf motif
13.2 / 12.0 / H7.3cm
小山冨士夫箱 / with box signed by KOYAMA Fujio
¥600,000-(税込 / including tax)
木の葉天目は宗麿先生を世に知らしめたものの一つであるがこの茶碗には木の葉の絵が描かれていて珍しい作品である。はっきりと写実的でなく具象的でもなく象徴的に描かれている。全体に渋目の唐津の釉調を呈している。昭和初期の京都蛇ケ谷時代から旧知の盟友である小山冨士夫先生の箱書である。
No.14 平茶盌 / Chawan
15.8 / H6.0cm
共箱 / with box signed by artist
¥1,000,000-(税込 / including tax)
宗麿先生は昭和4年から唐津の発祥地に出向いて制作の研究をしている。この茶碗も絵唐津の一種であるが、釉薬は枇杷色で桃山の奥高麗茶碗の釉調を思わせる。鉄絵はのびやかに表されている。お茶の映りも良いであろう。お茶をいただいた後に見込みの草文を楽しめそうである。
No.16 緑彩草花文 / Chawan, Green glazed, Flower motif
16.0 / H6.8cm
小山冨士夫箱 / with box signed by KOYAMA Fujio
¥600,000-(税込 / including tax)
白化粧を施した後に、絵をざくざくとスピード感を持って掻き落とし、緑釉を掛けている。技法そのものも珍しい作品で類品は少ない。盟友だった小山冨士夫先生は宗麿先生の死後、自宅に赴き宗麿先生が残して良い作品を選定したと言われている。
No.17 失透釉盌 / Chawan, Opaque glazed
10.6 / H9.1cm
共箱 / with box signed by artist
¥600,000-(税込 / including tax)
中央に氷裂文のような切れ目を入れて一種のアクセントにしている。釉薬は藁灰を用いている。切れ目の溝には釉薬が溜まって濃淡ができる。形は筒形で口縁に向かって少しすぼまっている。
No.18 平茶碗 / Chawan
16.7 / H5.0cm
共箱 / with box signed by artist
¥380,000-(税込 / including tax)
笠間陶芸美術館には仏の坐像が陰刻された緑褐釉壺が収蔵されている。この茶碗もこの壺と同様の釉薬を使っている。渋い釉調はマットで独特の質感を呈している。高台をごけ底風の内高台として腰から口縁に向って開いている。
No.19 白濁釉水指 / Water jar, Opaque glazed
17.8 / H15.8cm
共箱 / with box signed by artist
¥1,200,000-(税込 / including tax)
水指の上部を藁灰釉を下部を鉄釉を施している。藁灰と鉄釉が合わさった中央の部分と三層になっていて優しい轆轤目などの景色を楽しめる。こうした大人しい品格のある水指は茶碗や茶器を引き立てるため使いやすい。
No.20 仿唐三彩馬 / Horse Statuette, Three coloured
27.8 / 10.4 / H25.2cm
共箱 / with box signed by artist
※価格はお問合せ下さい / Please inquire about the price.
中国の唐時代には三彩が流行し、副葬品として死後も同様の生活が出来るように人物、神獣、馬、駱駝、万年壺、花入、器、陶枕など様々なものが作られた。宗麿先生も1928年ごろその唐三彩に倣いほぼ同様の雰囲気を持つ三彩を作り上げた。この馬は新発見のもので、今までの美術館などの展示会で紹介されている馬よりもかなり大きいものとなる。愛らしいお顔を持つ馬は下を向いている。三彩の釉調も釉色も美しく宗麿先生の初期の名作として紹介したい。
No.22 黒釉小皿 / A set of 5 small plates, Black glazed
14.6 / H2.7cm
共箱 / with box signed by artist
¥600,000-(税込 / including tax)
器形も意匠も同じであるがやや固い印象を受けるのも21番の皿よりも若作だからであろう。生がけの素地に刷毛目を施すことにこのような雰囲気となる。釉薬の薄い部分は柿釉となっている。積み重ねるためにできる目痕自体も景色となる。菓子皿などに使いやすい寸法である。
No.23 印花彩瓷碟 / A set of 5 plates, Overglazed enamels
16.2 / H3.3cm
共箱 / with box signed by artist
¥700,000-(税込 / including tax)
箱書にあるように九谷にて製作した作品である。白磁の皿に九谷赤を施し、上下が逆になっている壷の連続模様を芋版で押している。その後、壺の銀彩の部分を横線や波線を引っ掻いている。材料が本来のものでなくても宗麿先生の手にかかれば楽しい作品となる。
No.24 白瓷盒子 / Lidded container, Grasshopper motif
10.7 / H5.7cm
共箱 / with box signed by artist
¥800,000-(税込 / including tax)
鉢や茶碗にも同様の意匠がある。中国磁州窯のスタイルで白化粧をした後、草とバッタを陰刻し緑釉を掛けている。盒子の中はやはり緑釉を施している。誠に愛らしい作品でお茶会などで菓子箱などにも使いたい作品である。
※ ご紹介しております中には、ご売約戴いている作品もございます。
※ 作品の詳細等のお問い合わせ、ご予約等はしぶや黒田陶苑までご連絡ください。
電話 :03-3499-3225 E-mail :info@kurodatoen.co.jp