Framed calligraphy, poetry of the T'ang dynasty 唐詩書額

「到得歸來無別事盧山煙雨浙江潮」
到り得て帰り来たれば別事なし 廬山は煙雨、浙江は潮。
奇岩と瀧の名勝地の廬山は江西省にある。その廬山の煙雨と、海水が川に逆流する浙江の潮は天下の名だたる景観であり、ぜひ一度は訪ね冥途の土産にしておきたかったが行けるようになった今は別事がなかった。
唐宋八大家のひとり蘇軾（蘇東坡）の漢詩と言われている。魯山人先生は若き日、書で生計を立てようと当時の実力者であった書家の日下部鳴鶴や巖谷一六を訪ねるがその姿勢に失望し、独学での書の真髄の追求に切り替えた。王羲之や顔真卿を学び、日本の新三筆として良寛･秀吉･一休らを評価して自らの道を切り開いている。
本作は画帖を広げて揮毫し、扁額にしたもので「夢境」の落款の署名がある。