Hanging Scroll, Hanshan Poems, "Life is in the Vulgar World" 寒山詩

人生在塵蒙 恰似盆中蟲
終日行遶遶 不離其盆中
神仙不可得 煩悩計無窮
歳月如流水 須臾作老翁


人生は塵蒙に在り、恰も盆中の蟲に似る。
終日、遶遶と行くも、其れ盆中を離れず。
神仙は得べからずして、煩悩は計るに無窮なり。
歳月は流水の如くして、須臾にして老翁を作す。

人の一生はこの塵の世(俗世)の中に在るのであって、それはあたかも、お盆の中の虫に等しい。
一日中、一生懸命にぐるぐると歩き回っているようでいて、実際には盆の外に出ることはできない。
人が神や仙人になることもできず、一方で人の心を乱す煩悩はとめどない。
歳月は流れる水のように過ぎ去るばかりで、あっという間に、人は老人になる。

自分を戒めるような寒山詩。
後半の「歳月如流水」の水は川の流れのように筆が走っています。
先生もあっという間に流れていく限られた時間を常意識されていたのかもしれない。