Exhibition 【唐津　丸田宗彦展】Exhibition of MARUTA Munehiko

第一部：酒器・食器　他　　　　4月15日（金）～19日（火）
第二部：壺・花入・茶碗　他　　4月22日（金）～26日（火）

I：Sake Ware and tableware from April 15th to 19th.
II：Vessel ,Flower Vase and Tea Bowls from April 22nd to 26th.
Closed on Thursday, 21st.

*今後の政府・東京都の政策方針により変更になることがございます。
*The schedule is subject to change depending on the policy of Japan government.

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ひとり我が道を拓く ... 丸田宗彦


20 代後半であった丸田宗彦に出合いその作品に注目して久しい。

この人こそは唐津を背負って立つ成長株だと愛陶家に推挙した私だから、その後の活躍は我がことのように喜んでいる。

謙虚な人柄の良さは衆目の認めるところ、しかしその作芸には、いつも意表をつかれるほどの真意発想に圧倒される。陶芸界で安直にいわれる創意創作というのではなく、やきもの本来の核心を衝いているからである。

武雄の山懐に登窯や半地上式窖窯を設計して築窯した。土は自ら探して掘り出す。
制作にも新意が見られ、その焼成にも思いもよらぬ拘りがあり、ひとり丸田は我が道を拓いた。


天目・黒高麗の流れをくむ黒唐津は松浦系の諸窯のほか、武雄地区でも地元の錆谷・李祥古場・祥古谷などでも焼かれていることに注目したという。

全長 52m 21 袋と推定される李祥古場らには未だ多くの陶片が眠っている。そこで焼かれた黒釉や飴釉を飛躍させて唐津で初めて引出黒まで展開させた。天正黒ともいわれる「小原木」「小原女」など筒型茶碗が名碗である。桃山時代末に美濃で唐津の連房式登窯に倣って築かれた元屋敷窯にみられる織部黒や黒織部茶碗の名碗の数々。丸田は試行錯誤の末に李朝陶工にもなしえなかった漆黒の唐津引出黒茶碗を力感豊かに誕生させた。

唐津は李朝の流れをくみ轆轤と叩きで成形され、ボシ(匣鉢)には入れずにむき出しで直火に晒されるため碗なりの茶碗が多いが、あえてヘタリ易い立ち上がりの鋭い筒茶碗や沓茶碗に道を切り拓いている。


また、唐津をそして丸田宗彦を語るなれば、「絵唐津」である。

登窯を築いた 10 年後には、筆を意のままに操った絵唐津に自信を得たことで 窖窯を築いた。奥高麗などと焼成しているが、絵唐津の筆致は芒などの大まかな草花文であっても、その線の妙とともに釉調も変化に富んでいる。

現在でも土探しに余念はなく、内田系武雄唐津の北東部にある小峠古窯址の付近から掘り出した白い土で今までにない筒向付を創った。火入より背が高いという所謂“のぞき”深向付だが、窖窯で焼かれた柔らかい温雅この上なき釉調となった。
さらに算盤型の斑唐津壺や瓶子風花入、そして朝鮮唐津壺、徳利花入などは造形に創意が感じられ、焼成も焚口の火床を有効に駆使して窯変の効果をあげて見応え充分である。

還暦を過ぎて独立して 35 周年である。 後世に残すべき作品、その選ばれし丸田宗彦作品を待ち望む展示会である。


黒田草臣