【特別展「粋」Ⅱ】Special Exhibition "SUI Ⅱ" No.27　黒の二重像 / Framed painting “Double image in black”

23歳の時にフランスへ留学しながらも当時の流行を追うのではなく、抽象と具象が絶妙に溶け合ったモダンな構図に、叙情性と幻想的な世界をも感じさせる作風は唯一無二である。何気ない日常にあるものを描き、そのものの本質を追い続けた山口薫先生の作品には、私たちの心に響くものが実に多い。 キャンバスの上に英字新聞が貼られ、そこに描くという大変珍しい作品で、オイルパステルで黒く描かれた猫に、所々厚く絵の具を載せ、パレットナイフで伸ばしたようにも見える。また画面右側が少し明るく見えることから、逆光の中に見える猫を描いたとも考えられる。

所載：
『山口薫全作品集』　求龍堂　2011年（No.o-0672）