【特別展「粋」Ⅱ】Special Exhibition "SUI Ⅱ" No.7　一九八十　鉢 / Bowl 1980

晩年である1980（昭和55）年に制作された作品である。半磁土で成形された器体はゆったりとやや外に立ち上がり、半磁土の持つ柔らかさに合わせた造りをしている。文様は朱色の線で正方形に区切り、その中で更に青、白、黒の釉薬が薄い朱線で対角上に区切られることで三角形を作り出している。正確性が求められる文様とは裏腹に釉薬が塗り重ねられた筆跡からは軽やかさが感じられる。青と白の釉薬には艶があり、黒はやや失透し、それぞれに異なる質感を生む。
底部は3×3の正方形で区切られ、中央に「一九八十」と「章」の彫銘がある。

所載：
「20世紀陶芸の神話　加守田章二展　第3章　飛翔する生命」　益子陶芸美術館/陶芸メッセ・益子　2003年
『加守田章二』　印象社　2004年
「加守田章二　天極をさす」　益子陶芸美術館/陶芸メッセ・益子　2021年